クレジットカードの与信枠はどう決まる?

クレジットカードとお金

クレジットカードの与信枠ってどういう意味?

クレジットカードの与信枠には、2つの考え方があります。「個人から見た与信枠」と、「クレジットカード会社から見た与信枠」です。

個人から見た与信枠とは、所有しているクレジットカードの利用可能額をすべて合計した金額となります。
一方、クレジットカード会社から見た与信枠とは、カード会社が「このくらいの金額なら設定してよい」と判断している利用限度額のことです。
クレジットカード会社の与信枠は、カード会社ごとで異なるため、たとえばA社は100万円の与信枠であっても、B社では120万円の与信枠と判断されることがあります。

契約当初、与信枠は少なめなのが一般的

一般的に、契約当初の与信枠は少なめです。なぜなら、初めて取引する場合、クレジットカード会社としては貸し倒れのリスクに備えなければならないからです。
クレジットカードの与信枠の考え方はあまり馴染みがないことから、少々分かりづらいといえます。次項で更に詳しく見ていくことにしましょう。

クレジットカード会社が設定する与信枠の意味について

前項でクレジットカード会社から見た与信枠とは、「このくらいの金額なら設定してよい」と判断している利用限度額と解説しました。別の言い方をすると、「クレジットカード会社からの信用度が金額に表れている」ともいえます。つまり、クレジットカード会社の信用の範囲内で「このくらいの金額なら返済してもらえる」と判断された金額が与信枠となるのです。
クレジットカードの与信枠は、審査の際に細かく決められているものではありません。各クレジットカード会社が、一律で設定しています。

たとえば、A社とB社のクレジットカード発行条件が「18歳以上、専業主婦でも利用可」だったとしましょう。この場合、1ヶ月に利用できる与信限度額によって与信枠を設定する点や、月々の請求のタイミング、締日、口座振替日を考慮せずに与信枠を設定する点は、A社とB社共に同じです。しかし、「このくらいの金額なら返済できる」という与信枠の設定基準は両者で異なります。

そのため、

  • A社:ショッピング枠10万円、キャッシング枠0円
  • B社:ショッピング枠20万円、キャッシング枠0円

といったように、金額が異なることは珍しくないのです。

申込み当初からクレジットカードの与信枠が大きいケース

ゴールドカード、プラチナカードなど高ステータスなカード

ゴールドカードやプラチナカードなど、利用条件が少々厳しいクレジットカードの場合、一般的なクレジットカードと比較すると、与信枠は大きい傾向にあります。なぜなら、利用条件が厳しい分、クレジットカード会社からの信用度が高いからです。

職業

弁護士や医師、公務員など、収入が安定している職業に就いている場合も、与信枠は大きめです。
逆に専業主婦やアルバイト、派遣社員などは、未収入であったり収入が不安定なことを理由に、最初から大きな与信枠が与えられることはありません。

クレジットカードの利用歴

申込み当初、与信枠が小さい場合でも、返済に遅れることなくコンスタントにクレジットカードを使うことで、徐々に与信枠を大きくしていくことができます。

クレジットカードの与信枠の金額はどうやって決まるの?

クレジットカードの与信枠の決まり方は、各クレジットカード会社で異なることは先に触れたとおりです。一般公開されていない情報であるため、与信枠の決定基準の詳細は分かりません。

しかし、これからご紹介する4つのポイントは、どのクレジットカード会社も与信枠を決める際に重要視しています。概要を詳しく見ていくことにしましょう。

クレジットカードの与信枠は属性がポイント

クレジットカードの与信枠は、属性によっておおよそ決まっています。属性とは、個人情報のようなものです。属性の主な内容は、以下のとおりとなります。

  • 年齢
  • 性別
  • 職業
  • 勤務形態
  • 年収
  • 居住年数
  • 勤務先の会社の規模
  • 婚姻の有無
  • 同居家族の有無 など

上記の項目はすべて点数化される仕組みとなっており、この仕組みのことをスコアリングと呼んでいます。スコアリングは審査にも影響を与えるものですが、与信枠を決める際も重視されているのです。

たとえば、属性が高い人と低い人の特徴は以下のとおりです。

ケース 属性の一例
属性が高い人の場合 上場企業勤務
正社員として10年働いている
年収は800万円
属性が低い人の場合 アルバイト勤務
約1年働いている
年収は230万円

上記の表はあくまでも一例ですが、属性のスコアリングの点数が高いと、「属性が高い人」と判断される傾向にあるため、与信枠は大きくなります。
一方、勤務形態がアルバイトであったり、勤続年数が短い場合などは、収入が不安定になりやすいとして、貸し倒れのリスクを回避するために与信枠は小さくなるのです。

なお、与信枠は属性だけで決まるものではありません。先ほど取り上げた属性の中に「年収」が含まれていましたが、年収によっても与信枠は変動するものです。次項で詳しく見ていくことにしましょう。

クレジットカードの与信枠は収入によっても異なる

クレジットカード会社は、「1年間に支払うことができると考えられる金額」を算出した上で、更に細かく与信枠を決めています。ここでポイントとなるのが、支払可能見込額です。

支払可能見込額とは、年収・預貯金から生活費や債務などを差し引き、無理なく返済できると考えられる金額のことを指します。「包括支払可能見込額」と呼ばれることもありますが、言葉の意味は支払可能見込額と同じです。

計算式は、以下のとおりとなります。

支払可能見込額=年収・預貯金-年間請求予定額-生活維持費

年収・預貯金は、クレジットカード申込み時に申告した内容がベースとなります。
また、年間請求予定額に関しては、指定信用情報機関(JICC・CIC・全国銀行個人信用情報センター)に照会し、他のクレジットカードの債務や支払い状況などを基に算定されるものです。法令で定められている方式を用いて計算されます。

最後の生活維持費は、生活していく上で必須となる費用のことを指しており、「生活維持費の算出方法」と呼ばれる法令で金額は予め決まっているものです。詳細は、以下の表のとおりとなります。

住宅費用(住宅ローンや家賃)あり
住宅費用(住宅ローンや家賃)ありの場合
世帯人数1人 116万円
世帯人数2人 177万円
世帯人数3人 209万円
世帯人数4人以上 240万円
住宅費用(住宅ローンや家賃)なし
住宅費用(住宅ローンや家賃)なしの場合
世帯人数1人 90万円
世帯人数2人 136万円
世帯人数3人 169万円
世帯人数4人以上 200万円

参考:三井住友カード株式会社「割賦販売法改正に伴うショッピングご利用枠に関するご案内」

支払可能見込額の計算方法について

支払可能見込額の計算方法や考え方は、クレジットカード会社の公式サイトで案内されていることがあります。今回は、「三井住友カード」の公式サイトで紹介されていた事例を見ていくことにしましょう。

  • 申告年収:330万円
  • 住宅ローン:あり
  • 年間請求予定額:50万円
  • 世帯人数:3人
  • 支払可能見込額

年収 330万円-年間請求予定額 50万円-生活維持費 209万円=支払可能見込額 71万円

上記のとおり、支払可能見込額は71万円となりました。
最後にショッピング利用可能枠の上限額を決めるため、以下の式を用いて計算をします。

支払可能見込額×90% =ショッピング利用可能枠の上限

90%という数字は、経済産業大臣が定めている割合です。今回の事例の場合、ショッピング利用可能枠の上限は60万円となります。

支払可能見込額71万円×90% =60万円

つまり、クレジットカード会社は60万円を超えない範囲で枠を設定するのです。60万円はあくまでも目安であり、他社の支払い履歴や遅延などを踏まえた上で決められます。

なお、ショッピング利用可能枠の上限は、年収ごとで平均値が大体決まってくるものです。支払可能見込額を用いて算出した年収別限度額の目安金額は、以下の表のとおりとなります。参考にしてください。

年収別限度額の目安
年収 限度額
100万円代 10万円~50万円
200万円代 20万円~100万円
300万円代 30万円~150万円
500万円代 50万円~300万円
1,000万円代 100万円~(個別設定)
クレジットカードの与信枠と総量規制について

これまで解説してきた内容は、ショッピング枠に関する与信枠のお話でした。キャッシング枠については、考え方が別になっています。その際に重要となるのが総量規制です。

総量規制とは、多重債務問題を解消する目的で導入された規制のことを指します。年収の3分の1までしか、お金を借りることはできません。たとえば、年収が300万円の場合、キャッシングの与信枠は100万円までです。

専業主婦のように収入がない場合は、キャッシングを利用できない規則となっています。キャッシング枠は、クレジットカード発行時に申請するか、契約後に申請することで付けることができますが、別途に審査を受けなければなりません。

また、ショッピング枠とキャッシング枠は、別々に設定されるものではなく、ショッピング枠の中にキャッシング枠が包括されます。
たとえば、先の事例でいうと、ショッピング枠とキャッシングの与信枠、実際に設定される枠は以下のとおりです。

例)年収330万円の場合
与信枠 実際に設定される枠の目安
ショッピング 60万円 60万円
キャッシング 110万円 10万円~30万円となるケースが多い

ショッピング枠は自分で決めることはできませんが、キャッシング枠は予め決められた範囲内で希望額を設定することができます。最終的なキャシング枠の上限は、審査の結果決められるものです。
ちなみに、キャッシングの与信枠が110万円あっても、ショッピング枠の60万円に包括されることから、上記のケースの場合は10万円から30万円程度の限度額となるケースがほとんどとなります。

なお、総量規制の対象となるのは、キャッシング枠のみです。ショッピング枠は、総量規制の対象とはなりません。

職業によってクレジットカードの与信枠が変わることもある

「申込み当初からクレジットカード 与信枠が大きいケース」のところでも触れましたが、職業の違いが与信枠に影響を与えることもあります。
年収が高くても月々の収入が不安定な職業の場合、最初から大きな与信枠が与えられることはありません。

たとえば、一部上場企業の大手に正社員で勤めていたり、公務員、医師などの収入が安定した職業に就いている人は、その他の職業に就いている人よりも与信枠が大きくなる傾向にあります。
厳密にいうと、職業の違いで与信枠が変わるのではなく、収入の安定性が重視されているのです。そのため、芸能人やスポーツ選手のように高収入であっても、いつ収入が途絶えるか分からない職業の場合、与信枠は小さくなることがあります。

クレヒスもクレジットカードの与信枠に影響を与える

最後に押さえておきたいのは、クレヒス(クレジットヒストリー)です。クレヒスも、クレジットカードの与信枠に影響を与えます。

クレヒスとは、利用開始からの利用状況や返済状況の記録のことです。個人信用情報センターに登録されているものと、クレジットカード会社が独自で保有しているものの2パターンに分かれます。

個人信用情報センターは、JICC、CIC、全国銀行個人信用情報センターの3箇所となっており、クレジットカード会社によって加盟先は様々です。とはいえ、ほとんどのクレジットカード会社は、CICに加盟しています。

個人信用情報センターと、クレジットカード会社が独自で保有するクレヒスの一番の違いは、記録されている内容です。

個人信用情報センターのクレヒスの場合、直近24ヶ月分の入金・返済情報、返済事故情報などが登録されており、全てのクレジットカード会社で情報が共有されています。

一方、クレジットカード会社が独自で保有するクレヒスは、個人信用情報センターのクレヒスよりも細かな情報が登録されているものです。非公開となっていることから、他のクレジットカード会社に情報が開示されることはありません。

属性や収入などに問題はなくても、遅延や延滞記録がある場合は、クレヒスが良好な状態ではないとして与信枠は小さくなります。逆に遅延や延滞記録がなく、コンスタントにクレジットカードを利用している場合は、予めクレジットカード会社が設定している基準の範囲内で、与信枠は設定されるのです。

なお、複数枚のクレジットカードを所有している場合ですが、貸し倒れのリスクが高いなどと判断される傾向にあります。その場合、クレヒスが良好であっても与信枠は小さくなるものです。

与信枠を大きくするためには、利用していないクレジットカードの解約、既存のクレジットカードの減枠など、いくつかの対処法があります。申込み前に利用状況を確認し、少しでも与信枠が大きくなるように対処しておきましょう。

クレジットカードの与信枠は利用中も変動する!

これまで解説してきたとおり、クレジットカードの与信枠は元々決まっているものです。ただし、申込み時に決められた与信枠は、クレジットカード利用中も定期的に変動します。

クレジットカード利用中の与信のことを「途上与信」と呼んでおり、遅延や延滞をせずにクレジットカードを使い続けることで、徐々に与信枠を大きくしていくことが可能です。

つまり、クレジットカード会社から信用を得ることができれば、与信枠を変えていくことはできるのです。自ら増枠申請をすることで、与信枠を引き上げて増枠することも可能ですが、クレジットカード会社から案内されることも珍しいことではありません。

注意したいのは、途上与信の際に他社の返済遅延が見つかったり、年収が下がるなど、利用状況に問題が見られた場合です。事前に知らされることなく、与信枠が小さくなったり減枠されることがあるため、十分に気をつけましょう。

一度信用を失ってしまうと、与信枠を元の状態に戻すまでに時間が掛ります。当然のことながら、そのあいだ与信枠を大きくすることはできません。以上のことから、コツコツと良好な利用実績を作りつつ、途上与信で増枠していくことをおすすめします。

クレジットカードの与信枠は信用を育てることで変わる!

クレジットカードの与信枠は、クレジットカード会社ごとで決まっていますが、これまで解説してきたとおり利用中に変えていくことは可能です。現時点で与信枠が小さかったとしても、クレヒスが良好であれば与信枠は変わっていきます。

最も大切なのは、クレジットカード会社から信用を得ることです。信用を得ることができれば、与信枠をある程度まで大きくすることは不可能ではありません。

今回ご紹介した内容を参考にしながら、まずは自らの与信枠について見直してみてはいかがでしょうか。

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