FX用語集
検索

外貨預金はおすすめしない!今からはやめた方がいい理由と失敗しないFXでの運用方法

FXの基礎知識 2023/12/13 4512view
外貨預金はおすすめしない!今からはやめた方がいい理由と失敗しないFXでの運用方法

外貨預金は、日本円を外貨にして銀行に預けることで金利収入や為替差益を得られる投資方法ですが、本当に儲かるのでしょうか?外貨定期預金の場合は、20万円でも1000万円の運用でも細かく外貨を積み増す、決済するということができないため、始める時期などによっては損失で終わることが多いです。

本記事では、外貨預金をおすすめしない理由、外貨預金で運用するメリットとデメリット、外貨預金よりも優れた金融商品などについて詳しく解説します。今から外貨預金を始めようと考えている方、すでに始めている方もぜひ参考にしてください。

初心者向け!FX口座開設診断
簡単!2ステップの診断で、あなたに最適なFX会社をご紹介します!

あなたの年齢は?

外貨預金はやめとけ!おすすめしない6つの理由

外貨預金で資産運用の案内

外貨預金とは、日本円ではなく外国の通貨で預金を行う運用方法です。外貨預金には、高金利や為替差益を得られるなどのメリットがありますが、それだけではなく、多くのデメリットも存在します。

銀行や周囲の方などに勧められたからと外貨預金を行う前に、デメリットと言える以下のおすすめしない6つの理由を知っておきましょう。

  1. 定期預金だと引き出せない
  2. 為替レートのリスク
  3. 為替手数料がかかる
  4. 預金保険制度の対象外
  5. 通貨の種類が限られる
  6. 複雑に税金がかかる

定期預金だと引き出せない

外貨預金には、外貨定期預金と外貨普通預金、外貨貯蓄預金などがあります。外貨定期預金の場合は、払い戻し手続きや解約自体はできますが、基本的に満期が到来するまで引き出すことはできません。

一方、外貨普通預金の場合はいつでも預け入れ、引き出しができるという違いがあります。満期が到来するまで引き出せない代わりに、外貨定期預金の方が金利が高く設定されていることが多いです。外貨貯蓄預金は、1ヵ月たてばいつでも引き出し可能となっており、積立的な位置づけです。

銀行などの金融機関で勧められるのは、満期までお金を引き出せない外貨定期預金であることがほとんどです。営業されるのは高値に相当するタイミングである場合も目立つため、満期の時点で為替差益がマイナスになっている可能性も高く、金利分を加味しても損をしやすい金融商品です。

為替レートのリスク

外貨預金を行うと、預金した外国通貨は日本円の為替レートの円安円高によって、元本が増減する可能性があります。例えば、100ドルを預金したときに1ドル=100円だったとします。その後、1ドル=90円になった場合、預金した100ドルは日本円に換算すると9,000円になってしまいます。つまり、1,000円ほど元本割れが発生してしまうのです。

逆に、1ドル=110円になった場合、預金した100ドルは日本円に換算すると11,000円になります。この場合、1,000円の為替差益が発生します。しかし、為替レートは常に変動しており、予測することは非常に難しいです。そのため、外貨預金は外国為替証拠金取引(通称FX)と同様、為替レートのリスクを常に抱えることになります。

為替手数料がかかる

外貨預金を行うためには、日本円と外国の通貨を交換する際に為替手数料がかかります。為替手数料は銀行や金融機関によって異なりますが、目安としては往復(円→外貨、外貨→円への交換)で2円~程度がレートに手数料として加算されます。

例えば、100ドルを預金する時の為替手数料がレート+1円だったとします。その場合、1ドル=100円と仮定すると10,000円で100ドルに交換できますが、為替手数料としてレートに+1円されるので1ドルに交換するためには101円が必要になります。

つまり、実際に円から外貨に交換した上で預金できるのは10,000÷101=99ドル相当になるのです。また、外貨預金を円に交換して解約する時にも同様に為替手数料がかかります。そのため、外貨預金は為替手数料によって利益が数%~ほど減少します。

預金保険制度の対象外

預金保険制度(ペイオフ)は、金融機関が破綻した場合に預金者等の資金保護や資金決済の履行の確保を図り、信用秩序の維持を目的とする制度です。ただし、外貨預金、譲渡性預金、金融債(募集債及び保護預り契約が終了したもの)などは預金保険制度の対象外です。

したがって、外貨預金は預金保険の対象外となるので金融機関が破綻した場合には全額戻らないということです。そのため、メガバンク以外で行う外貨預金に関しては安全性が低いと言えます。

通貨の種類が限られる

外貨預金で預けられる通貨の種類は金融機関によりますが、一般的には主要な通貨(ドル、ユーロ、ポンド、豪ドルなど)となります。そのため、投資対象となる通貨の選択肢が限られます。

例えば、比較的金利が高い新興国通貨(南アフリカランド、メキシコペソ、トルコリラ)などは、預金できる銀行や金融機関があまり多くないです。また、預金できる通貨の種類によっては金利や手数料が異なります。そのため、外貨預金による運用は自分が希望する国の通貨で預金できない可能性があります。

複雑に税金がかかる

外貨預金には、利息所得と為替差益(雑所得)の2種類の所得が発生します。利息所得は、外貨預金した通貨の金利によって発生する所得です。為替差益(雑所得)は、預金した外国通貨と日本円の為替レートの変動によって発生する所得です。利息と為替差益の所得には、それぞれ異なる税率が適用されます。

利息と為替差益の所得でどのように税率が異なるのか、以下で確認していきましょう。

利息は利子所得で源泉分離課税

外貨預金で受取る利息は、利子所得として所得税+住民税(地方税)が課税されます。また、課税方式は源泉分離課税となるので原則として確定申告は不要です。利子所得を受け取る時点で税金分が差し引かれているため、確定申告の対象となる所得からは除かれます。

外貨預金で受取る利息に対する税率は、一律20.315%となります。内訳は所得税が15.315%(※)、住民税(地方税)が5%です。

※2037年末までは復興特別所得税が上乗せされます。

為替差益は雑所得で総合課税

外貨預金で外国為替相場の変動が元で発生する為替差益が発生した場合、主たる収入がある方は為替差益が年間20万円を超えると、雑所得として所得税+住民税(地方税)が課税されます。

また、課税方式は総合課税なので原則として確定申告は必要ですが、為替差益の金額が20万円以下などのケースであれば不要となります。詳しくは、税務署や税理士に確認してください。

主たる収入がある人(為替差益が年間20万円を超える場合)
主たる収入がある人 税法上 納税
為替差益が年間20万円を超える 申告分離課税 必要
為替差益が年間20万円以下または損失 なし 不要
主たる収入が無い人(為替差益が所得控除を超える場合)
主たる収入が無い人 税法上 納税
為替差益が年間48万円を超える 申告分離課税 必要
為替差益が年間20万円以下または損失 なし 不要

外貨預金の為替差益は雑所得(総合課税)で、所得税の税率は他の所得と合算した合計額に応じて異なり、最大45%の税率が設定されています。また、住民税(地方税)の税率は所得に対して10%(道府県民税が4%、市町村民税が6%)※が基準とされていますが、自治体によって税率が多少異なる場合があります。
※政令指定都市の場合は、道府県民税が2%、市民税が8%など。

以上の6つの理由から、外貨預金はあまりおすすめできません。

外貨預金で運用するメリットは主に3つある

外貨定期預金で運用するメリットは、以下の通りです。

高金利

外貨預金の最大のメリットは高金利です。日本の金利は現在ほぼゼロに近いですが、国や通貨によっては金利が数パーセントから数十パーセントにもなります。多くの国では、日本の金利よりもはるかに高い金利が設定されています。金利差により、同じ期間預け入れた場合でも外貨預金の方が高い利益を得ることが可能です。

2023年12月1日時点で、米国(アメリカ)の政策金利は5.25%、ユーロは4.00%、英国(イギリス)は5.25%、豪州(オーストラリア)は4.35%、NZ(ニュージーランド)は5.50%となっており、日本円との金利差は非常に大きく開いています。新興国通貨の中には更に高金利なものもありますが、金利と引き換えに少々リスクを負うという点を理解しておきましょう。

※以下の表は、2023年12月1日時点情報

通貨国 政策金利 変更幅± 改正日
日本 日本 -0.10% 2016年1月29日
米国 米国 5.25%
~5.50%
+0.25% 2023年7月26日
ユーロ ユーロ 4.00%
4.50%
4.75%
+0.25% 2023年9月14日
英国 英国 5.25% +0.25% 2023年8月3日
豪州 豪州 4.35% +0.25% 2023年11月7日
NZ NZ 5.50% +0.25% 2023年5月24日
カナダ カナダ 5.00% +0.25% 2023年7月12日
スイス スイス 1.75% +0.25% 2023年6月22日
南アフリカ 南アフリカ 8.25% +0.50% 2023年5月25日
香港 香港 5.75% +0.25% 2023年7月27日
トルコ トルコ 40.00% +5.00% 2023年11月23日
中国 中国 3.45% -0.10% 2023年8月21日
メキシコ メキシコ 11.25% +0.25% 2023年3月30日
ブラジル ブラジル 12.25% -0.50% 2023年11月1日

参考リンク:各国政策金利表/マネックス証券

為替差益

外貨預金は、為替レートの変動により預け入れた通貨の価値が上昇した場合、その差額分の利益を得ることができます。特に円安が進んだ場合、外貨預金を円に戻す際に円換算時の為替差益を得られるため、元の金額よりも多い金額になります。これは、自国の通貨で預け入れる通常の預金では得られない利点となっており、外貨預金の大きな魅力の一つです。

例えば、1米ドル=100円で米ドル預金を始めて、1米ドル=120円になった時に解約すると、レート上では20円分の為替差益が発生します。20円分の為替差益に米ドル預金額を掛けると差益の総額を算出できます。

米ドル預金額$10,000×為替差益20円=200,000円

為替差益は利息とは別に得られる利益なので外貨預金の魅力的なポイントです。ただし、為替レートの変動によって損失にもなり得ることを忘れてはいけません。

資産分散

外貨預金は資産分散にも役立ちます。円預金のように一つの通貨だけに依存するのではなく、複数の外国通貨に投資することでリスクを分散させられます。分散により、一部の通貨が大きく下落した場合でも全体の資産が大きく減少するリスクを抑えることができます。

特に円の価値が下がる時に資産を守る役割を果たすため、歴史的な円安が進んでいる状況下などでは外貨に替えるということが資産分散になります。ただし、相場というものは大勢が同じ方向を向いた際、往々にして真逆へと向かうことがあるので、始めるタイミングも非常に重要です。

外貨預金のデメリットを避けるには

外貨預金は高金利や為替差益、資産分散など魅力的ですが、元本割れや為替変動、割高な手数料などのリスクもあります。外貨預金を行う際には、自分の目的やリスク許容度に合わせて慎重に判断してください。

では、外貨預金のメリットを享受しつつ、デメリットを少なくするか回避する方法はないのでしょうか。実は、外貨預金の上位互換とも言える金融商品「FX」が存在します。FXとは、外国為替証拠金取引の略で、外国の通貨を売買することで利益を得ることができる金融商品です。

FX(外国為替証拠金取引)には、外貨預金にない多くのメリットがあります。次の章では、FXのメリットとデメリットについて詳しく説明します。

外貨預金の上位互換とも言える金融商品はFX

FXのイメージ画像

外貨預金を一歩進めた金融商品として、FX(外国為替証拠金取引)があります。FXは外貨預金と同じく外国の通貨を運用する金融商品ですが、その取引方法やリスク・リターンには大きな違いがあります。また、FXには外貨預金にはない多くのメリットがあります。

FX口座を使用して自分で外貨を買える

FX口座を使用して外貨を買う方法は、一般的な銀行の外貨預金とは異なります。FXでは、自分で直接通貨ペアを選んで外貨の取引を行います。

例えば、円をドルに替える取引ならドル円(USD/JPY)の通貨ペアを選び、買いポジション(BID)を持ちます。このように、自分で決めたタイミングで取引を行い、その結果得られるスワップポイント(金利差相当分の収益)を積み立てることができます。

FXを始めるには?

FXを始めるには、まずFX口座を開設する必要があります。FX口座とは、FXの取引を行うための専用の口座です。FX口座を開設するには、インターネットやスマートフォンなどで申し込みを行い、本人確認書類を提出するだけで簡単に開設できます。FX口座の開設には、基本的に手数料や維持費はかかりません。

続いて、FX(外国為替証拠金取引)のメリットとデメリットを確認していきましょう。

FX口座を使用した外貨運用のメリット

FX口座を使用して外貨運用を行う場合、以下のようなメリットがあります。

  1. 通貨の種類が豊富で自由に選べる
  2. 為替手数料が安いか、実質無料
  3. 預けた資金は信託保全制度の対象
  4. レバレッジで資金効率が高くなる
  5. 外貨両替に対応のFX会社もある

通貨の種類が豊富で自由に選べる

FX口座を使用して外貨運用を行う最大のメリットは、通貨の種類が豊富で自由に選べることです。外貨預金では取り扱い通貨の種類は銀行によって異なりますが、一般的には米ドル、ユーロ、英ポンド、豪ドル、カナダドル、ニュージーランドドル、スイスフランなどの主要通貨が選べます。

一方、FXでは前述の通貨に加えて、トルコリラ、南アフリカランド、メキシコペソ、香港ドル、中国元などのマイナー通貨も取引できます。また、口座を開設するFX会社によって多少異なりますが、通貨の組み合わせも20ペア前後以上から選べます。日本円と米ドルのペアだけでなく、ユーロとスイスフランのペアなども取引可能なので、自分の好みや目的に合わせて多様な通貨で運用することができます。

為替手数料が安いか、実質無料

為替手数料などの取引コストは、外貨を買ったり売ったりする時にかかる手数料やスプレッド(売りと買いの価格差)のことです。外貨預金とFXでは手数料となる取引コストが若干異なりますが、基本的には手数料はFXの方が圧倒的に低いです。

外貨預金では、日本円から外貨に変える際と、外貨から日本円に戻す際の両方に為替手数料がかかります。為替手数料は金融機関によって違いますが、大手都市銀行の例では窓口で米ドルの外貨預金を取引した場合に片道1円かかります。つまり、外貨預金は往復で2円程度のコストが発生します。

FXでは、買いレートと売りレートの差額(スプレッド)が実質的な取引コストになります。スプレッドはFX会社によって違いますが、米ドル/円であれば0.2銭以下(0.002円)にしている会社が多いです。つまり、FXは往復で0.004円程度のコストが発生します。

このように、外貨預金とFXでは取引コストに大きな差があります。取引コストが低いほど利益が出やすくなるので、外貨預金で運用するよりもFXの方が有利と言えます。

預けた資金は信託保全制度の対象

FX口座は銀行に資金を預けるわけではないため、銀行などの金融機関における預金保険制度は適用されませんが、FX会社に義務付けられている信託保全制度が適用されます。

信託保全制度とは、FX会社が投資家から預かった証拠金を自社の財産とは別に、信託銀行等に分別して保管する仕組みです。この制度のおかげで、FX会社が破綻した場合でも投資家の資産は保護されます。信託保全制度で保証される資産の範囲としては、FX口座にある預入証拠金、スワップ損益(金利差収益)、評価損益、実現損益の全額が補償されます。

日本国内の金融庁の認可を受けている金融業者が取り扱うFX口座では、信託保全制度による補償が義務化されていますが、海外では必ずしも信託保全を行っているわけではありません。そのため、FX取引を行う際には日本国内の会社を選ぶ必要があります。

レバレッジで資金効率が高くなる

外貨預金では、元手資金の範囲内でしか円から外貨への預け入れができないため、資金が少ないと外貨の運用額も少なくなります。FXには預けた資金の何倍もの通貨の売買ができるレバレッジという仕組みがあります。レバレッジの倍率は最大25倍となっており、レバレッジ25倍で運用する場合、10万円の資金で250万円分の通貨の売買ができます。

レバレッジにより、資金が少なくても大きな取引ができるようになります。ただし、レバレッジを使うことで為替変動による利益も損失も大きくなります。そのため、資金効率は悪くなりますが外貨預金と同様にレバレッジ1倍で運用するか、レバレッジを2~3倍ほどまで低くしてリスクを軽減する運用方法がおすすめです。

外貨預金のようにレバレッジ1倍で運用すれば、実質満期がない外貨定期預金としての運用が可能です。スワップポイント(金利差収益)だけ出金できるFX会社もあるので、利息相当額だけを引き出すこともできます。

外貨両替に対応のFX会社もある

外貨運用のためにFX口座を開設する際は、外貨両替に対応しているFX会社を選ぶと海外渡航などの際に役立ちます。外貨両替とは、日本円から外貨に、または外貨から日本円に、現金で両替するサービスです。外貨両替に対応しているFX会社を利用すれば、FX口座に預け入れた証拠金を外貨に両替した上で、指定の場所などで受け取ることができます。

海外旅行や出張などで外貨が必要な時に手数料が非常に安く済むため、外貨を買って資産運用する目的だけでなく、外貨両替の目的でもFX口座を作る方が近年増えてきています。外貨両替に対応しているFX会社はまだ少ないですが、今後増えていく可能性があります。 外貨運用をする際には、外貨両替のサービスも提供しているFX会社を探すと良いでしょう。

FX口座を使用した外貨運用のデメリット

FX口座を使用して外貨運用を行う場合、以下のようなデメリットがあります。

  1. 元本割れのリスクが高い
  2. 取引には最低限の知識が必要
  3. レバレッジは諸刃の剣

元本割れのリスクが高い

外貨預金と同様に、FXでも預けた資金を運用する際は元本保証されておらず、為替変動による損失があると元本が減ります。また、レバレッジを使うことで為替変動による損失も大きくなります。

例えば、レバレッジが25倍の場合、通貨の価格が1%下落したら損失は25%になります。このように、FXも元本割れのリスクが高いのです。ただし、外貨預金と異なるのはFXに満期などはないため、通貨の価格が戻ってくるまで待つという超長期運用ができます。

取引には最低限の知識が必要

外貨預金では、通貨の売買は銀行が代行してくれるため、為替の取引に関する知識は必要ありません。しかし、FXでは通貨の売買は自分で行うことになるため、取引に関する知識が最低限は必要です。

基本的に自分自身の判断で通貨の種類やペア、金額やレバレッジ、決済などを設定して取引します。FX口座の利用に慣れていない場合や知識が不足している場合は難しく感じるかもしれませんが、FX会社では様々なサポートもしていますし、取引の手引きなども用意されているので大丈夫です。

レバレッジは諸刃の剣

レバレッジをかけられるFXは資金効率が高くなるというメリットがありますが、同時にレバレッジは損失拡大の原因になり得る諸刃の剣でもあります。レバレッジをかけることで、為替変動による利益も損失も大きくなりますが、損失が大きくなりすぎると追加証拠金の請求や強制決済という事態に陥ってしまいます。

追加証拠金の請求とは、FX業者から口座の証拠金が不足していると判断された場合に、追加で不足分の資金を入金するように求められることです。強制決済は、FX口座の証拠金が一定の水準以下になった場合、自動的に通貨の売買が行われます。したがって、FXで利用できるレバレッジは使いこなせなければ諸刃の剣なのです。

FXは外貨預金にはない魅力的な金融商品ですが、同時に高いリスクも伴います。FX会社が行う無料セミナーなどで基本的な知識を身に付けた上で、取引を行うなどしてリスク管理を徹底できるようにして始めましょう。

外貨預金とFX(外国為替証拠金取引)の違い

外貨

外貨運用に興味のある方は、外貨預金やFX(外国為替証拠金取引)という二つの運用方法があります。しかし、外貨預金とFX(外国為替証拠金取引)はどのように違うのでしょうか?以下では、外貨預金とFXの違いについて紹介します。

項目 外貨預金 FX
取引コスト 高い 低い
レバレッジ 1倍 最大25倍
為替差益のチャンス
金利差収益の受け取り 満期時 営業日ごと
税金 利子は源泉分離課税
為替差益は総合課税
申告分離課税
預け入れ金の保全 ×

取引コスト

外貨預金とFXの取引コストは異なります。外貨預金では、預け入れや引き出しに手数料がかかります。また、外貨を売買する際には金融機関が設定した為替レートに基づいて行われますが、この為替レートには金融機関の利益分が含まれています。「円を外貨に換える時」と「外貨を円に戻す時」の両方で為替手数料がかかるのが一般的です。

一方、FXでは1回のトレードごとに発生する売値と買値の差額の「スプレッド」が、実質的な取引コストになります。多くのFX会社では、FX取引そのものに直接的な手数料はかかりません。つまり、外貨預金とFXの違いは取引コストが高いか低いかということです。

レバレッジ

外貨預金とFXの大きな違いのひとつが「レバレッジ」です。レバレッジとは、預けた資金(証拠金)の何倍もの取引が可能になる仕組みのことです。外貨預金においてのレバレッジは常に1倍となり、預けた資金以上の取引をすることはできません。

一方、FXではレバレッジは最大25倍まで利用できるため、10万円の資金でも250万円相当の取引が可能という違いがあります。

為替差益のチャンス

外貨預金の場合は、円を外貨に替えているので円安になれば利益を得ることができます。一方、FXでは「円を売って外貨を買う」取引だけでなく、「外貨を売って円を買う」取引も行えるため、円高に向かっている状況下でも為替差益を得るチャンスがあります。

外貨預金は円安の時しか利益が狙えませんが、FXは外貨を買いながらも円高時には逆の取引で利益をあげられるという違いがあります。

金利の受け取り

外貨預金では、外貨を預け入れた期間に応じて満期後にのみ利息を受け取ることができます。一方、FXでは翌営業日のNYクローズの時間を超えて保有することによって、毎日スワップポイント(金利差収益)が発生し、FX口座に反映される形で受け取れます。

FX会社によってはスワップポイントのみの出金も行えるため、外貨の買いポジションを解消することなく金利差収益だけを手元に戻せます。

税金

外貨預金とFXでは、税金の種類や税率が異なります。外貨預金とFXの税金の違いをまとめると、以下のようになります。

項目 外貨預金 FX
為替差益の税率 最大55.945%(総合課税) 20.315%(申告分離課税)
為替差益の確定申告 20万円以下なら不要 20万円以下なら不要
利息の税率 20.315%(源泉分離課税) 20.315%(申告分離課税)
利息の確定申告 不要 20万円以下なら不要

それぞれの税金について詳しく見ていきましょう。

外貨預金の税金

外貨預金の為替差益は雑所得として総合課税の対象となります。総合課税とは、他の所得(給与所得や事業所得など)と合算して、その合計金額に応じて税率が決まる方法です。総合課税の税率は所得の額によって異なりますが、最大で55.945%になります。為替差益を得た場合は原則として確定申告が必要となります。

外貨預金の利息は、源泉分離課税の対象となります。源泉分離課税とは、利息が支払われる際に所得税と住民税があらかじめ差し引かれる方法です。源泉分離課税の税率は一律で20.315%です。利息にかかる税金は、金融機関が自動的に処理してくれるので確定申告は必要ありません。

FXの税金

FXの為替差益とスワップポイントは、申告分離課税の対象となります。申告分離課税とは、他の所得とは別に税率が決まる方法で、税率は一律で20.315%です。為替差益とスワップポイントの合計額が20万円以下であれば、確定申告は必要ありません。ただし、住民税は別途申告する必要があります。詳しくは税務署または税理士に相談してください。

預け入れ金の保全

外貨預金は、銀行が経営破綻した場合に預けているお金を保証してくれる制度(ペイオフ)の対象にはなりません。一方、FX会社に預けた資金は会社の資産とは分けて信託銀行で管理するように義務付けられています。このため、信託保全制度によってFX会社が経営破綻しても預け入れた資金に加え、利益などが全て戻ってきます。

信託保全の目的は、投資家の資産(証拠金)の安全を保証することです。FX会社が破綻した場合でも、預けた資金は債権者が強制執行や仮差押等を行うことはできず、外部弁護士などを通じて顧客に返還されます。預け入れ金の保全の仕組みにおいては、外貨預金よりもFXの方が安心と言えるでしょう。

上記のように、外貨預金とFXでは大きな違いがありますが、客観的に判断してもFXの方が外貨預金よりも良い金融サービスであると言えます。

外貨預金よりオススメの積立FX投資対応業者

外為どっとコム

外為どっとコムの外貨積立(らくつむ)は、通貨ペア・金額・レバレッジ・頻度をあらかじめ設定し、定期的に外貨を購入するFX取引サービスです。1通貨単位で注文が可能となっており、数百円程度からFXで積立を始めることができるため、初心者の方でも手軽に始めやすい、中長期的な資産運用を提案するサービスとなっています。

また、一定の金額を定期的に投資することで、為替レートの変動リスクを分散させる効果もあります。これにより、為替レートの変動による損失リスクを軽減することが可能となります。

SBI FXトレード

SBI FXトレードの積立FXは、取引種類、取引通貨、取引時間、取引レート、スプレッド、スワップポイント、取引単位、最大レバレッジなど、多くの取引ルールを設定しています。

取引通貨は合計10通貨(すべて対円)で、米ドル、英ポンド、豪ドル、NZドル、カナダドル、南アフリカランド、トルコリラ、中国人民元(CNH)、香港ドル、メキシコペソが含まれています。さらに、スワップポイントは取引画面で実績値を確認可能な上、スワップポイント利用方法として「貯める」「再投資」「分配」を選択できます。

【番外編】GMOクリック証券 FXネオ

積立FXサービスはないものの、GMOクリック証券のFXネオは、取引高、口座数、証拠金残高で業界トップクラスのFX口座です。業界最狭水準のスプレッドと、機能性と操作性に優れた取引ツールも人気があります。

また、総合的な証券口座として利用できるため、株式・投信・FX・外為オプション・CFD・株価指数バイナリーオプション・債権など豊富に運用可能なのでオススメです。

FX口座で外貨運用を始めるタイミング

FX取引を始めるタイミングや時期に明確な正解はありません。為替レートがどう動くかは誰にもわからないことですし、外貨の金利も各国の政策金利方針で変動していきます。ただし、以下のような状況ではFX取引を検討することが推奨されます。

  • 市場で今後の円安傾向が予測される時
  • 余裕資金を高金利で長期運用したい時
  • 利息だけでなく為替差益も欲しい時

市場で今後の円安傾向が予測される時

市場で円安傾向が予測されるような場合は、FX口座での外貨運用を始める良いタイミングかもしれません。円安になると、購入した外貨の価値が上昇するため、利益を得るチャンスが増えます。

また、逆に円高傾向になりそうな場合でも少しずつ外貨を購入していけるため、基本的にFX口座を利用する場合はいつでもチャンスがあると言えます。

余裕資金を高金利で長期運用したい時

FX口座では、高金利の通貨を選んで買いポジションを構築すれば、余裕資金を利息狙いで長期運用することが可能です。外貨預金と比較してスワップポイント(金利差収益)が高くなる可能性があるため、魅力的な選択肢となります。

ただし、外貨の金利が高いほどリスクも高いので、自分の許容範囲内で選ぶ必要があります。主要通貨ペアを選ぶと国家破綻のリスクなどを最小限にした外貨運用が行えるでしょう。

利息だけでなく為替差益も欲しい時

FX口座を利用すれば、利息だけでなく為替レートの変動による為替差益も柔軟に得ることが可能です。FXは外貨の買いだけではなく売りポジションを持つこともできるため、地政学的リスクや暴落時などには売りを行うことで買いポジションの損失よりも利益を出すといった行動ができるのです。

長期運用だけに限らず、短期的な売買も視野に入れた上で外貨の取引をしてみたいという方は、FX口座を利用すればいつでも始められます。

タイミングに左右されない方法もある

ドルコスト平均法は、同一ポジションサイズ(通貨数量)の買いを一定間隔で追加することで、為替レートの変動リスクを分散させる投資手法です。定期的に同じ通貨単位で外貨を購入するため、おのずと高値も安値も買うことになります。結果的には為替レートの平均値になるので、タイミングに左右されない、手軽で効果的な外貨運用方法です。

ドルコスト平均法を使う場合は、100通貨や1000通貨単位など最小単位が小さいFX会社での運用がおすすめです。また、積立FXに対応しているFX会社も検討すると良いでしょう。

まとめ

今回は、外貨預金をおすすめしない理由、外貨預金で運用するメリット、外貨預金よりも優れた金融商品FXなどについて解説しました。

外貨預金は一見魅力的に見えますが、その背後には様々なリスクが潜んでいます。20万円でも1000万円でもそのリスクは変わりません。為替レートの変動により、元本割れの可能性もあります。そのため、外貨預金は短期間で大きな利益を期待する投資手段というよりは、長期的な視点での資産運用の一部と考えるべきです。

また、外貨預金の上位互換とも言えるFXは素晴らしいサービスですが、レバレッジを利用できるので使い方次第ではリスクも高まります。FX口座を使用することで24時間取引が可能となり、多様な通貨ペアを選択できるなどのメリットがありますが、レバレッジをかけるリスクなどのデメリットも理解しておく必要があります。

近年では積立型のFXサービスも提供されており、外貨預金のような運用方法で尚且つ手数料は非常に安く、好みでレバレッジをかけずに運用できるため、外貨定期預金を利用する意味はないと言えるでしょう。

PR
当サイト内で紹介する商品やサービスの一部には広告が含まれています。